導入
playという単語には、-s, -ing, -ed は付ければよいだけです。
play
plays
playing
played
しかしtryはどうでしょう。
try
tries
trying
tried
try-だったり、tri-だったり、よくわかりません。
今回はこのルールを整理します。
ルールをtryで検証
まず、次のルールを念頭に置いてください。
⓪まずは音ありき
①語末のi,uを避ける
②語中はi,uを優先
③ii,uuは避ける
④母音字間のi,uを避ける
この記事では『英語の発音と綴り』(中公新書)という本のp226~の内容を整理します。内容が難解ですので、ギリギリまでシンプルにまとめたいと思います。
⓪まずは音ありき
tryという単語は/traɪ/という音を表しています。(なお、//は発音を表します。)
ということは、音ごとにバラすと、
t=/t/
r=/r/
y=/aɪ/
これが、それぞれも文字が表している音です。そこで、
y=/aɪ/
に注目すると、yの1文字で/aɪ/の音を表しています。
さて、実はiも同じで、1文字で/aɪ/の音を表します。
【例】ice, I
ということは、/traɪ/という音を表したいときに、〈y〉と〈i〉を入れ替えて、
*tri と書いてもいいはずです。
①語末のi,uは避ける
でもここで、ルール「①語末のi,uは避ける」が発動しますので、*triのまま放置ができないので、最後をyにしてtryとします。
「①まずは音ありき」が通底していて、「音」は/aɪ/のままですが、綴りの都合でiと書いたりyと書いたりしているだけです。
*tri🖋←/traɪ🔊/→try🖋
②語中ではi,uを優先
今度は、tryを過去形にしたいですが、*tryedにしてしまうと、語中にyが残ってしまうので、今度はiに置き換えて、triedとします。このように英語は、語中では極力i,uを使います。
じゃあcycleとかphysicsとかは何なのかというと、ギリシャ語から借りてきただけです(借用)。-ing形にしたり、-ed形にしたりするときの、iとyの入れ替わりとは全然別の話です。
④ii,uuは避ける
では、tryを進行形にしますが、このとき*triingとはしません。これは「④ii,uuは避ける」が働くからです。よって最初に戻って、tryingとなります。
ルールをplayで検証
⓪まずは音ありき
同じことをplayで検証してみましょう。
まず、aiという綴りは、/eɪ/という音を表します。
【例】mail, sail
つまりplayのayと、mailのaiは同じ/eɪ/を表します。
ay🖋=ai🖋=/eɪ🔊/
①語末のi,uを避ける
じゃあ、ay と aiを入れ替えて*plaiにすると、「①語末のi,uを避ける」に反するからダメですね。
④母音字間のi,uを避ける
また、語中は極力i,uを使うので、過去形はplaiedかというと、aieが連続しているので、「④母音字間のi,uを避ける」に反するので、やっぱりplayedにもどします。
playとpayの比較
aiとayは同じ音
ところでpayの過去形はpaidですが、このaiはplayのayと同じ発音です。
ということは、playの過去形は、理論上はplayedも*plaidも両方ともOKで、音はどっちも/plaɪd/を表しています。
/plaɪd🔊/=*plaid🖋=played🖋
理論の限界
しかし、実用されているのは、あくまでもplayedの方なので、あとは丸暗記しましょう。ここが理論の限界です。
payはplayと逆を採用している
逆に、payの過去形は*payedもpaidも理論上はOKで、音はどっちも/paɪd/を表しています。
paid🖋=/paɪd🔊/=*payed🖋
しかし実用されているのはpaidの方なので、黙って覚えるしかありません。ただ、いずれの綴りも同じ音を表していることを知っておくと、今後の学習の幅が広がると思われます。
playの過去形はplayedが正解で*plaidは誤りとされるのに、payの過去形はpayedが誤りでpaidが正しいとされるなんて納得がいかないですが、あきらめて丸暗記しましょう。これが外国語学習です😭