導入
解答が付いていない悲しき(?)名著、『ラテン語初歩』の練習問題を解きながら、ラテン語や英語について解説します。
ラテン語の発音は、だいたいローマ字読みでOKです。上に棒が付いているāは「アー」と伸ばします。
§76. 練習問題14(和文羅訳)
問1
【問題】
彼らは不法を見ていたが、しかし黙っていた。
【単語】
injūria, ae f.「不正、不法」
videō[第二活用]「見る」
sed「しかし」
taceō[第二活用]「黙る」
まずは「不法を」という訳と作りたいので、injūriaを単数対格にします。
【活用表】§36
puella「少女」
単数
主格(が) puella
属格(の) puellae
与格(に) puellae
対格(を) puellam
奪格(から)puellā
injūriam、です。
次に、動詞を未完了過去の形にします。未完了過去の作り方は、次のとおりでした。
現在幹+-bam
↑現在幹=不定法から-reを取る
↑不定法=辞書に載っている
辞書を見ると
videōは、
不定詞はvidēre
-reを取って、vidē-
-bamを付けて、vidēbam
これで未完了過去単数1人称の完成です。
同様に、
taceōは、
不定詞はtacēre
-reを取って、tacē-
-bamを付けて、tacēbam
未完了過去単数1人称の完成です。
主語が「彼ら」なので、活用表で複数3人称にします。-bamの活用は全動詞で共通なので、代表でamōの表を使います。
【活用表】未完了過去(直説法能動相)
amō「愛する」
単数
1人称 amābam
2人称 amābās
3人称 amābat
複数
1人称 amābāmus
2人称 amābātis
3人称 amābant
vidēbant、tacēbant、です。
【解答】
Injūriam vidēbant, sed tacēbant.
ちなみに-bamの部分の活用は、単数1人称を除いて動詞第一活用現在と同じです(§72)。
amō(←これだけちがう), (あとは同じ→)amās, amat, amāmus, amātis, amant
本気でラテン語を読み書きしたいなら語尾を暗記する必要があります。でも、このページでは毎回活用表を表示するので、覚える必要はありません。「この活用だからこうなる」という「理屈」だけを追ってください。
問2
【問題】
我々は黙っていた、しかし叫んでいたのだ。
【単語】
clāmō[第一活用]「叫ぶ」
「~していた」なので時制は未完了過去です。主語が「我々」なので、taceōとclāmōを未完了過去複数1人称にします。なお、なんやかんやでclāmōの未完了過去単数1人称はclāmābamです。
【活用表】未完了過去(直説法能動相)
amō「愛する」
単数
1人称 amābam
2人称 amābās
3人称 amābat
複数
1人称 amābāmus
2人称 amābātis
3人称 amābant
tacēbat、clāmābat、です。
【解答】
Tacēbat sed clāmābat.
問3
【問題】
私は聞いていた、しかし黙っていた。
【単語】
audiō(アウディオー)[第四活用]「聞く」
主語が「私は」なので、単数1人称です。活用表の1番上、というか現在幹に-bamを付ければ完成です。
【解答】
Audiēbam sed tacēbam.
問4
【問題】
我々は不正に対して抵抗していた。
resistō→resisēbamと未完了過去をつくり、活用表で複数1人称の語尾にします。
【活用表】未完了過去(直説法能動相)
amō「愛する」
単数
1人称 amābam
2人称 amābās
3人称 amābat
複数
1人称 amābāmus
2人称 amābātis
3人称 amābant
【解答】
Resistēbāmus contrā injūriam.
問5
【問題】
少女にばらを彼は毎日送っていた。
【単語】
mittō[第三活用]「送る」
「少女にバラを毎日」の部分は、練習問題13-5をそのまま使いまわしますので、「彼は送っていた」の部分だけつくります。
mittō→mittēbamで未完了過去をつくり、単数三人称にします。
【活用表】未完了過去(直説法能動相)
amō「愛する」
単数
1人称 amābam
2人称 amābās
3人称 amābat
複数
1人称 amābāmus
2人称 amābātis
3人称 amābant
mittēbatです。
【解答】
Ad puellam rosam cottidiē mittēbat.