導入
『ラテン語初歩』(岩波書店)の練習問題を通してラテン語の解説をするシリーズです。
ここまでに勉強した動詞の形は、実は「現在直説法能動相」というものでした。英語で言うと、「現在形」と「現在進行形」の両方を表す感じのやつでした。
Puella stat.
「少女は立つ。」「A girl stands.」
「少女が立っている。」「A girl is standing.」
※少女に立つという習慣がある(現在形)のか、少女が今まさに立っている(現在進行形)なのかは、ラテン語では単語の形からは分からないので、文脈で判断します。
で、今回から学ぶ「未完了過去直説法能動相」というのは、英語で言うと「過去の習慣」と「過去進行形」あたりを表す表現です。
☆英文法復習☆
【過去の習慣】
〈①used toを使うやつ〉
I used to go fishing every Sunday.
「日曜日にはいつも釣りに行ったものだ。」
〈②wouldを使うやつ〉
I would often go fishing in the river when I was a child.
「子供のころ私はよく川で釣りをしたものだ。」
(often, sometimesや alwaysなどの頻度を表わす副詞とともに使うことが多い。)
この2つが有名です、思い出しましょう。
【過去進行形】
I was standing there.
「私はそこに立っていた。」
be動詞の過去形+ing形のやつです、思い出しましょう。
これらの表現が、ラテン語だと1単語で表せます!例えば、単数一人称だけ並べると、
amābam「私は愛していた」
monēbam「私は警告していた」
emēbam「私は買っていた」
audiēbam「私は聞いていた」
capiēbam「私は取っていた」
となります。
未完了過去の作り方
未完了過去直説法能動相、略して未完了過去の作るには、まず現在幹を取り出します。
いや、現在幹ってなんだよ💢って話ですが、現在幹は不定法から-reを取り除いて作ります。
いや、不定法ってなんだよ💢って話ですが、辞書に載ってます!以上!!

ラテン語の文法書って、「現在幹」とか「不定法」とか、いきなり出てくるので、怒りを覚えます。いや、説明の都合上しょうがないんでしょうけど・・・。
辞書を見て現在幹を作ろう!
たとえば、amō「愛する」を辞書で引くと、こんな感じで載ってます↓
amō, āre, āvī, ātum
略さずちゃんと書くと、
①amō, ②amāre, ③amāvī, ④amātum
です。
で、②amāreが不定法です。不定法っていう形だと思ってください。英語でいう”to不定詞”みたいなもんだと思ってください、お願いします🙇
で、amāreから-reを取り除くと、amāが残りますね、これが現在幹です!
同様に現在幹を作っちゃいますと、
moneō, ēre→monēre→monē
emō, ere→emere→eme
audiō, īre→audīre→audī
capiō, ere→capiere→capi(なぜかこれだけ-ereを取る、なぜだ💢)
現在幹にbamをつける
第一活用(amōとか)と、第二活用(moneōとか)は、現在幹に直接-bamを付ければOKです。
amābam
monēbam
第三活用(emōとか)は、現在幹の最後を長くして-bamを付ける。
emēbam
第四活用と第五活用は、現在幹の最後をiēにして-bamをつける。
audiēbam
capiēbamいや、そこまでいじるなら現在幹を作った意味とは?
-bamをつけた後は
あとは、-bamのamの部分を第一活用現在と同じ活用を使いまわします(ラッキー)。
第一活用現在とは、
amō(←これだけbamにする)
amās
amat
amāmus
amātis
amant
(§25)ですので、
未完了過去は↓
【活用表】未完了過去(直説法能動相)
amō「愛する」
単数
1人称 amābam
2人称 amābās
3人称 amābat
複数
1人称 amābāmus
2人称 amābātis
3人称 amābant
となります。
ふう、ようやく導入が終わったので、次回からまた練習問題を解きます。