ゆるラテン語講座 第3回 2000年前もaudioはaudioだった【Ⅴ 動詞 第三, 第四, 第五活用】

諸言語
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導入

ラテン語の発音

ラテン語の発音は、だいたい日本語のローマ字読みでOKです。
まぁ、ちょっと日本語とちがう場合もあるので、初めて扱う単語には、ふりがなを振ってます。
全部にフリガナふるのは面倒くさい。

教科書

ラテン語初歩』(改訂版 岩波書店)という教科書には練習問題に解答がありません。そこで、その練習問題に解答しつつラテン語について解説します。あわせて現代英語で使える情報もご紹介します。

今回は§48練習問題7、§49練習問題8、を扱います。

動詞第3,4,5活用!?

英語では、動詞の現在形は、基本的に「三単現にsを付ける」という活用しかありません。

I play.
You play.
he plays.☜三単現のsね。

しかし、ラテン語には、5つも活用の種類があります!しかも悲しいことに丸暗記しかない!!😭
というわけで、3個目、4個目、5個目の活用を今回はお勉強します。

ちなみに第一活用と第二活用は「英語でドヤれる!ラテン語入門①」で既にやりました。

活用表、いっき見

というわけで、活用表をどうぞ。別に覚えなくても大丈夫です。

【活用表】現在直説法能動相
 第三活用 emōエモー「買う


単数
1人称 emōエモー (I buy)
2人称 emisエミス (you buy)
3人称 emitエミトゥ (he buys)

複数
1人称 emimusエミムス (we buy)
2人称 emitisエミティス (you all buy)
3人称 emuntエムントゥ (they buy)

【活用表】現在直説法能動相
 第四活用 audiōアウディオー「聞く」


単数
1人称 audiōアウディオー (I hear)
2人称 audīsアウディース (you hear)
3人称 auditアウディトゥ (he hears)

複数
1人称 audīmusアウディームス (we hear)
2人称 audītisアウディーティス (you all hear)
3人称 audiuntアウディウントゥ (they hear)

【活用表】現在直説法能動相
 第五活用 capiōカピオー「取る」

単数
1人称 capカピオー (I take)
2人称 capisカピス (you take)
3人称 capitカピトゥ (he takes)

複数
1人称 capimusカピムス (we take)
2人称 capitisカピティス (you all take)
3人称 capiuntカピウントゥ (they take)

第五活用は、第3活用と第4活用を混ぜた形で、
赤=第三活用と同じ
青=第四活用と同じ
緑=第三第四両方と同じ
だそうです。(§46)

後々、ラテン語の辞書を引くとき、動詞の第何活用かが重要になるのですが、今は「ふーん」でいいです。

【ドヤりポイント】
ラテン語のaudiōは、もちろん英語のaudio「オーディオ、音声の」の語源です!

オーディオの話題になったら、「audioって、ラテン語で「聞く」って意味だよね」と言ってやりましょう😉

§48.練習問題7

というわけで、ずんずん練習問題を解きましょう!
ラテン語を日本語に訳します。

1

Scīsスキース?

【単語】
 sciōスキオー[第四活用]「知っている」

第四活用の表から同じ語尾を探しましょう。

【活用表】現在直説法能動相
 第四活用 audiōアウディオー「聞く」


単数
1人称 audiōアウディオー (I hear)
2人称 audīsアウディース (you hear)☜これ
3人称 auditアウディトゥ (he hears)

複数
1人称 audīmusアウディームス (we hear)
2人称 audītisアウディーティス (you all hear)
3人称 audiuntアウディウントゥ (they hear)

解答「あなたは知っているか?」

こんな感じで、活用表から見つけ出せば、答えになります。

【ドヤりポイント】
ラテン語sciōは、英語のscience「科学」の語源です!※化学ばけがくではない!

科学とは、知ることなんですねぇ。」とドヤりましょう。

2

Nesciōネスキオー.

【単語】
 nesciō「知らないでいる(nōnノーン sciōとは普通言わない)」

単語の本体がsciōなので、第四活用ですね。

【活用表】現在直説法能動相
 第四活用 audiōアウディオー「聞く」


単数
1人称 audiōアウディオー (I hear)☜これ
2人称 audīsアウディース (you hear)
3人称 auditアウディトゥ (he hears)

複数
1人称 audīmusアウディームス (we hear)
2人称 audītisアウディーティス (you all hear)
3人称 audiuntアウディウントゥ (they hear)

解答「私は知らない。」

3

Nōnノーン beneベネ vīvisウィーウィス.

【単語】
 beneベネく」
 vīvōウィウォー[第三活用]「生きる」

beneが副詞で無変化と思われるので、vīvisの活用形だけ特定しましょう。

【活用表】現在直説法能動相
 第三活用 emōエモー「買う


単数
1人称 emōエモー (I buy)
2人称 emisエミス (you buy)☜これ
3人称 emitエミトゥ (he buys)

複数
1人称 emimusエミムス (we buy)
2人称 emitisエミティス (you all buy)
3人称 emuntエムントゥ (they buy)

解答「あなたは善く生きていない。」

【ドヤりポイント】
ラテン語のbeneは、英語のbenefit「利益」の由来の一部です。

ラテン語のvīvōは、英語のvivid「生き生きとした、鮮やかな」の由来です。
文字どおり「生きる」が語源なのですね、ドヤ。

4

Diūディウー vīvisウィーウィス sedセドゥ sapientiamサピエンティアム nōnノーン discisディスキス.

【単語】
 diūディウー「長く」
 sedセドゥ「しかし」
 sapientiaサピエンティア, ae, f「知恵」
 discōディスコー[第三活用]「学ぶ」

diuは副詞、sedは接続詞っぽいので、放っておきます。

まず面倒なのが、sapientiamですね。以前【英語でドヤれる!ラテン語②】でやった名詞第一活用です。特定しましょう。

【活用表】名詞第一活用
puellaプエッラ「少女」
単数
主格(が) puellaプエッラ 
属格(の) puellaeプエッラエ 
与格(に) puellaeプエッラエ 
対格(を) puellamプエッラム ☜これ
奪格(から)puellāプエッラー 

複数
主格(が) puellaeプエッラエ 
属格(の) puellārumプエッラールム 
与格(に) puellīsプエッリース 
対格(を) puellāsプエッラース 
奪格(から)puellīsプエッリース 

sapientiamの訳は「知恵を」ですね。

次に、discisを特定しましょう。

【活用表】現在直説法能動相
 第三活用 emōエモー「買う


単数
1人称 emōエモー (I buy)
2人称 emisエミス (you buy)☜これ
3人称 emitエミトゥ (he buys)

複数
1人称 emimusエミムス (we buy)
2人称 emitisエミティス (you all buy)
3人称 emuntエムントゥ (they buy)

discisは「あなたは学ぶ」、
“sapientiam discis”は「あなたは知恵を学ぶ」、
“sapientam nōn discis”で「あなたは知恵を学んでいない」

解答「あなたは長く生きているが、知恵を学んでいない。」

【ドヤりポイント】
ラテン語の名詞sapientia「知恵」は、形容詞形でsapiensサピエンス「賢明な」です。
ラテン語で「人間」はhomōホモーです。
で、英語では、そのまんまHomo sapiens「ホモサピエンス(現生人類の学名)」です。

このように、学名にはラテン語がそのまんま使われます。新しく発見された生物に学名を付ける時とかも、ラテン語で新たに単語を作ります。つまりラテン語は、今も英語の中で運用され続けているのです。学名の話題になったら、ラテン語の知識を盛大にドヤりましょう。

5

Nequeネクウェ vidēsウィデース nequeネクウェ audīsアウディース.

【単語】
 nequeネクウェnequeネクウェ…「…も…もない」
 videōウィデオー[第二活用]「見る」

既出の第二活用videōです。しっかりフォローしますので、忘れた人も安心してください!

活用表】現在直接法能動相
 第二活用 moneō「警告する」

単数
1人称 moneōモネオー (I warn)
2人称 monēsモネース (You warn)☜これ
3人称 monetモネトゥ (He warn)

複数
1人称 monēmusモネームス (We warn)
2人称 monētisモネーティス (You all warn)
3人称 monentモネントゥ (They warn)

vidēsの訳は「あなたは見る」です。

audīsは「あなたは聞く」ですね。

【活用表】現在直説法能動相
 第四活用 audiōアウディオー「聞く」


単数
1人称 audiōアウディオー (I hear)
2人称 audīsアウディース (you hear)☜これ
3人称 auditアウディトゥ (he hears)

複数
1人称 audīmusアウディームス (we hear)
2人称 audītisアウディーティス (you all hear)
3人称 audiuntアウディウントゥ (they hear)

解答「あなたは見ることも聞くこともしない。」

§49.練習問題8

日本語をラテン語に訳します。

1

【問題】あなたがたは知っているか?

sciō「知っている」を複数二人称にしましょう。

【活用表】現在直説法能動相
 第四活用 audiōアウディオー「聞く」


単数
1人称 audiōアウディオー (I hear)
2人称 audīsアウディース (you hear)
3人称 auditアウディトゥ (he hears)

複数
1人称 audīmusアウディームス (we hear)
2人称 audītisアウディーティス (you all hear)
3人称 audiuntアウディウントゥ (they hear)☜これ

解答「sciuntスキウントゥ?」

2

【問題】我々は知らない。

nesciō「知らない」を複数一人称にします。

【活用表】現在直説法能動相
 第四活用 audiōアウディオー「聞く」


単数
1人称 audiōアウディオー (I hear)
2人称 audīsアウディース (you hear)
3人称 auditアウディトゥ (he hears)

複数
1人称 audīmusアウディームス (we hear)☜これ
2人称 audītisアウディーティス (you all hear)
3人称 audiuntアウディウントゥ (they hear)

解答「Nescīmusネスキームス.」

3

【問題】あなたがたは善く生きていない。

“Nōn bene vīvi○○.”という文でしょう。

【活用表】現在直説法能動相
 第三活用 emōエモー「買う


単数
1人称 emōエモー (I buy)
2人称 emisエミス (you buy)
3人称 emitエミトゥ (he buys)

複数
1人称 emimusエミムス (we buy)
2人称 emitisエミティス (you all buy)☜これ
3人称 emuntエムントゥ (they buy)

解答「Nōn bene vīvitis.」

4

【問題】彼らは長く生きていて、知恵を学んでいる。

さっきの§48.練習問題7の4を少し変えれば良さそうです。「Diū vīv〇〇 et sapientiam disc○○.」ですが、○○の部分を特定しましょう。

vīvōもdiscōも第三活用なので、

【活用表】現在直説法能動相
 第三活用 emōエモー「買う


単数
1人称 emōエモー (I buy)
2人称 emisエミス (you buy)
3人称 emitエミトゥ (he buys)

複数
1人称 emimusエミムス (we buy)
2人称 emitisエミティス (you all buy)
3人称 emuntエムントゥ (they buy)☜これ

vīvuntウィーウゥントゥ」「discuntディスクントゥ」にします。

解答「Diū vīvunt et sapientiam discunt.」

5

【問題】あなたがたは見ることも聞くこともしない。

さくっと行きましょう。

活用表】現在直接法能動相
 第二活用 moneō「警告する」

単数
1人称 moneōモネオー (I warn)
2人称 monēsモネース (You warn)
3人称 monetモネトゥ (He warn)

複数
1人称 monēmusモネームス (We warn)
2人称 monētisモネーティス (You all warn)☜これ
3人称 monentモネントゥ (They warn)

「あなたがたは見る=vidētis」

【活用表】現在直説法能動相
 第四活用 audiōアウディオー「聞く」


単数
1人称 audiōアウディオー (I hear)
2人称 audīsアウディース (you hear)
3人称 auditアウディトゥ (he hears)

複数
1人称 audīmusアウディームス (we hear)
2人称 audītisアウディーティス (you all hear)☜これ
3人称 audiuntアウディウントゥ (they hear)

「あなたがたは聞く=audītis」

解答「Neque vidētis neque audītis.」

おわりに

今回の内容は以上です。

基本的にラテン語は、正しい活用表から正しい活用を見つけるビンゴゲームです。がっつりラテン語の文章を読みたい方以外は、「ふーん」と思ってもらって、別に覚えなくてもOKです。

(あれ、練習問題に第五活用が出てなくない?まぁいいか😜)

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