ゆるラテン語講座 第14回 ラテン語では呼びかけ(呼格)が文頭以外に来る【Ⅸ名詞第二活用⑤】

諸言語
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導入

大学教科書なのに解答が付いていない、学生泣かせの名著『ラテン語初歩』の練習問題を解きつつ、ラテン語や英語について解説します。

《発音》
ローマ字読みすれば、だいたいラテン語になります。
【例】dominus /ドミヌス/
棒が上に乗っていたら、長く読みます。
【例】dominī /ドミニー/

§83. 練習問題15-5 羅文和訳

【問題】
Errās, fīlī.
/エッラース フィーリー/

【単語】
errō[第一活用]「誤る」/エッロー/
fīlius, ī, m.「息子」/フィーリウス/

errō→errāsの活用形を活用表から特定します。

現在直説法能動相(現在形)
§25 第一活用 amō「愛する」
単数
1人称 amōアモー 
2人称 amāsアマース 
3人称 amatアマトゥ 
複数
1人称 amāmusアマームス 
2人称 amātisアマーティス 
3人称 amantアマントゥ 

単数2人称で「おまえは間違っている」です。

fīlius→fīlīは注意が必要です。
まず、fīliusは第二活用(1)(§51)なので、単数主格はdominus、単数呼格はdomineです(§53)。
しかし-iusで終わる単語の単数呼格は*fīlieではなく、fīlīとします(§77)。

名詞 第二活用の-iusで終わる単語の単数呼格は*-ieじゃなくて-ī

よって、fīlīは単数呼格「息子よ」です。

【解答】
息子よ、おまえは間違っている。

なおラテン語の呼格は文頭以外に来ます(§83註1)が、日本語の場合は主に文頭に来ます。

§84. 練習問題16-5 和文羅訳

【問題】
息子よ、おまえは間違っていた。

【単語】
errō[第一活用]「誤る」/エッロー/
fīlius, ī, m.「息子」/フィーリウス/

まずfīliusは、さっきと同じ単数呼格fīlī「息子よ」です。

次に、動詞の時制は「誤ってい」なので未完了過去-bamの形にします。

errō→errābam

さらに主語が「おまえ」なので、2人称単数にします。

未完了過去
§70 amō「愛する」
単数
1人称 amābamアマーバム
2人称 amābāsアマーバース
3人称 amābatアマーバトゥ
複数
1人称 amābāmusアマーバームス
2人称 amābātisアマーバーティス
3人称 amābantアマーバントゥ

errābās「おまえは誤っていた」です。

【解答】
Errābās, fīlī.
/エッラーバース フィーリー/

英語の語源コーナー!

今回出題されたラテン語のerrō「誤る」は、英語のerror「誤り」という名詞になっています。

英語にはたくさんのラテン語がありますので、基礎的なラテン語に触れながら英単語を増強できます。

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