題材
この例文を使ってフランス語を解説します。
Allô! qui est à l’appareil.
/a-lo ki ɛ ta la-pa-rɛj/
/アロ キ エ タ ラパレイユ/
「もしもし、どちら様ですか?」
(『仏検3・4級必須単語集』4-6)
Allô!
発音は/a-lo アロ/です。英語のhelloと同じで電話口で使える単語です。
ちなみに日本語では「ハロー」と言いますが、英語の発音はhello/hɛˈloʊ ヘロウ/です。なぜか「ヘロー」じゃなくて「ハロー」が定着しています。
qui
発音は/ki キ/です、「クイ」ではありません。
英語のwho「誰」にあたる疑問詞です。
est
単独での発音は/ɛ エ/です。「エスト」ではありません、/エ/だけです。
英語のisに相当します。辞書ではêtreという形で引いてください。
êtreとかestとかさっぱりわからん!という場合はビデオ講座をご覧ください☟
フランス語の古文であるラテン語ではestをしっかり「エスト」と発音していたようですが、フランス語では語尾の発音が衰退して完全に消滅しました。(参考『ラテン語初歩』岩波書店)
à
前置詞です。英語のto at inあたりに相当します。
l’appareil
「l’」の部分は定冠詞leの省略形で、文法用語ではエリジオンです。
いやいやエリジオンて何だ!という場合は☟
appareil/アパレイユ/は、ざっくり「器具」とか「装置」を指す言葉で、ここでは電話機を指します。
appareilは服飾の「アパレル」と同語源ですが、
もともとは「装備するもの」から、フランス語では「器具」、英語では「服飾」、という意味にそれぞれ分岐したようです。(参考『英語語源辞典』研究社)
疑問文の作り方
英語と同じで、主語が疑問詞なら平叙文の語順です。
Who is on the phone?
Qui est à l’appareil?
なお、英語では電話で「どちら様ですか?」と尋ねるときは、”Who’s calling, please?”や”May I ask who’s calling?”などが普通です。(参考:『ジーニアス英和辞典第6版』who,『電話英会話まるごとフレーズ』アルク)
フランス語を参考にそのまま”Who is on the phone?”と言ってしまうと、「電話のあなたは誰?」みたいにちょっと無礼な感じになるようです。
英語とフランス語は似ているところも沢山ありますが、だからこそ混ざって変な英語・変なフランス語にならないように注意が必要です。