題材
今回も『DUO3.0』から暗記する価値がある例文を解説します。ただ単に暗記するのは勿体ない名文なので、暗記のついでに学べる文法などを紹介します。
【例文8】
”Natto” smells awful but tastes terrific.
納豆は臭いはひどいけど味は最高。
natto
日本語で発音すればOK
nattoは「納豆」です。日本語の発音で「なっとう」言えば大丈夫です。
発音上級者のあなたへ
で、ここからは発音にこだわりたい人向けの解説です。
英語にとって日本語は外国語です。英語を話すからには、アメリカ人になりきって、英語っぽく ”日本語単語” を発音したいですよね、ね?
発音記号にすると、こうなります☟
natto/ˈnætoʊ/(ナトウ)※太字はアクセント
aはappleのa/æ/の音です。oはopenのo/oʊ/です。oの文字は「オー」と伸ばさず、「オウ」と2つの音(「オ」と「ウ」の2つ)を発音しましょう。
ちなみに、綴りが似ているNATO(北大西洋条約機構)は、日本語では「ナトー」と発音しますね。では、英語ではどう発音するでしょうか?
正解はこちらです↓
NATO/ˈneɪtoʊ/(ネイトウ)
アクセントがある場合、aの文字は「ア/æ/」と「エイ/eɪ/」の2つのどちらかで読むことが多いです。「ア」と「エイ」のうち、どちらの発音なのか常に注意を払いましょう。
サイレントe
「ア」と「エイ」は、サイレントeで入れ替わる音としても有名です。「サイレントe」で検索すれば、いくらでもページが出て来ます。サイレントeとは、語末の読まないeの文字のことで、英語には非常によくあります。
mad/mæd/(マドゥ)「怒って」
made/meɪd/(メイドゥ)「作った」
aの文字は、語末にサイレントeが無いなら、短く「ア/æ/」と読みます。madeの最後のeは読まないのでサイレントeです。サイレントeがあるので、aの文字は長く「エイ/eɪ/」で読みます。
と、これで終わっては普通の解説ですので、もう一歩 踏み込みます。
母音字で開音節をつくる
サイレントeは何をやっているのかというと、読まない文字を置くことで、綴り字に無理やり開音節を作っています。
開音節とは、母音で終わる音節のことです。
閉音節とは、子音で終わる音節のことです。
(じゃあ音節とは何かというと、音のひとまとまりの事ですが、一言での定義が難しいので例を見て行きましょう。)
madという単語は綴り字では1音節で、dの文字で終わっています。
一方でmadeは、ma・deの2つに分けられます。ここで、ひとつルールを導入します。
【ルール】
「ア/æ/」は綴り字上の開音節では終われない。(抑止母音, checked vowel)
ということは、madeのmaの部分は、開音節(母音で終わっている)ですので、maのaは「ア/æ/」とは読めないので、消去法でもう一個の方の「エイ/eɪ/」で発音します。だからmadeは/mæd/じゃなくて/meɪd/なのです。
ホントかよ?と思うかもしれませんが、割と本当です。
NATOという単語は、1949年作られた(何百年もある英語の歴史の中では)新しい単語です。新しい単語が生まれたら、どう読むのかが問題です。なぜ素直に「ナトー」と読まずに、わざわざ「ネイトウ」と読むのでしょうか。
NATOという単語は、綴り字上の音節は、NA・TOに分けられます。するとNAのAは読み方のルールによって「ア/æ/」では読めません。そこで消去法で、もう一個の方の「エイ/eɪ/」で読みます。
madeと全く同じ理屈で、わざわざNAを「ネイ」と呼んでいるのです。これが英語のノリなので、頑張ってついて行きましょう。
さらに、NA・TOのTOの方ですが、oの文字は「アー/ɑː/」(←閉音節に出現)か「オウ/ou/」(←開音節、サイレントeで出現)で読むことが多いです。TOは開音節(母音で終わっている)なので「アー/ɑː/」では終われません。そこで、消去法で「オウ/ou/」で発音しています。
という理由で、英語ではNATOを「ナトー」と読まずに、わざわざ「ネイトウ」という謎の発音をしているのです。これは英語が不思議なクセを持っているだけなので、日本語としては堂々と「ナトー」と発音してやりましょう。
逆に、子音字では閉音節をつくれる
では納豆nattoはというと、今度は「ネイトウ」ではなっく「ナトウ」(/ˈnætoʊ/)と発音しています。なんでだ💢
英語から見て日本語は外国語ですから、英語としては自分流の発音に直したいわけです。そこで日本語の許可なく(!?)、勝手に文字を音節で分けちゃいます。
nat・to
そうすると、natの部分は閉音節(=子音で終わっている)なので、aの文字は短い方で「ア/æ/」と読みます。nat・toの、toの部分は開音節(=母音で終わっている)なので、oの文字は「オウ/ou/」で発音します。
なぜnat・toで勝手に切ってしまうのか。これはもう英語が伝統的にそうやってるから、としか言いようがありません。最後にもう少しだけ、その証拠をお見せします。
おまけ
たまに、swim→swimmingのように、進行形にすると文字が増える英単語があります。
iの文字が綴り字で閉音節なら「イ/ɪ/」、開音節なら「アイ/aɪ/」と読みます。
で、swimは子音で終わっているので閉音節、だから「スウィム」のように「イ」で読みます。
しかし-ingをつけるだけだと、
swi・ming
のように音節が分かれ、swiが開音節になり「×スワイミング」と「アイ/aɪ/」で読むことになってしまいます。
「×スワイミング」はイヤなので、mを増やして無理やり閉音節を作って子音で終わらせます!
swim・ming
これなら前半のswimが閉音節になるので、「スウィミング」のように「イ/ɪ/」で読めます。mを増やすのは、読み方を整えるためのただの帳尻合わせで、完全に英語の都合です。このように、私たちは中学校の頃から英語のワガママに付き合わされていたのです。
おわりに
開音節・閉音節の話は、私が勝手にしているのではありません。研究者による説明が知りたい場合は、ちょっと難しいですが『英語の発音の綴り』などを読んでみてください。
natto「納豆」の説明が長くなりましたので、続きは次の記事で!