題材
今回も『DUO3.0』から暗記する価値がある例文を解説します。ただ単に暗記するのは勿体ない名文なので、暗記のついでに学べる文法などを紹介します。
【例文8】
”Natto” smells awful but tastes terrific.
「納豆は臭いはひどいけど味は最高。」
今回はterrificから解説します。
terrific
意味
terrific /təˈrɪfɪk テリフィック/ は「最高!」といった意味の形容詞です。
F vs IF
『DUO3.0』では、「F」と「IF」という記号が使われています。記号の意味を引用します。
F=フォーマル(Formal)
論文や公式の場などで用いられる
IF=インフォーマル(Informal)
くだけた会話などで用いられる(『DUO3.0』本書で用いた記号・略号 より)
FとIFの違いは辞書にも記載されていて、『ジーニアス英和辞典』では⦅正式⦆⦅略式⦆と表記します。
⦅正式⦆ 堅い書き言葉・話し言葉(時に⦅文⦆に通じる)
⦅略式⦆ くだけた書き言葉・話し言葉(『ジーニアス英和辞典』スピーチレベル より)
F=正式、IF=略式、と思ってOKです。
Fとあれば「形式ばった堅い感じ」の単語で、IFとあれば「くだけた話し言葉」の単語で、それぞれ使う場面が異なります。
英単語を勉強するとき、「F・正式」とか「IF・略式」とかを見たら、合わせて覚えるようにしましょう。
terrificはIF
terrificは、『DUO3.0』ではIFで、『ジーニアス英和辞典』でも⦅略式⦆と表示があります。つまり、terrificは「くだけた会話」で使われる単語です。
使われる場面をコーパスで見てみましょう。(コーパスというのはテキストや発話を大規模に集めてデータベース化した言語資料のことです。データがたくさん集まると分かることが色々とあります。)
一番頻度が高いのはSPOK(話し言葉)で、一番頻度が低いのはACAD(学術論文)です。
terrificという単語は、友達同士の会話では使ってOKですが、形式ばったスピーチや論文では使わないようにしましょう。英検の作文問題など各種テストでも使わないのが安全です。
訳出
terrificはくだけた表現ですので、日本語訳もくだけた雰囲気を出したいところです。
改めて『DUO3.0』の和訳を見てみましょう。
【例文8】
”Natto” smells awful but tastes terrific.
「納豆は臭いはひどいけど味は最高。」
terrificに相当する部分を「最高」としています。
この「最高」という日本語ですが、『三省堂国語辞典』は次のようにあります。
さい こう[最高]
❶いちばん〈高い/すぐれている〉こと。「―の地位」
❷⦅ダ/ナ⦆
①本当に すばらしいようす。「気分は―だ・―に 〔=興奮するほど〕おもしろい」
② 〔話〕 〔感動詞的に〕すばらしい。やった。「Aチーム、―!」 〔一九五〇年代に広まった用法〕
「味は最高」の用法は❷の②でしょう。〔話〕 とありますので話ことばで使われる用法です。
つまり『DUO3.0』の訳は敢えて〔話〕 の用法を使うことで、日本語でも「IF感」を出しているのです。