導入
英語にはたくさんのラテン語があり、ちょうど日本語に漢字がたくさんあるのに似ています。現代にも影響力を持っているラテン語に、ゆるく入門してみましょう。
大学教科書なのに解答が付いていない、学生泣かせの名著『ラテン語初歩』の練習問題を解きつつ、ラテン語や英語について解説します。
《発音》
ローマ字読みすれば、だいたいラテン語になります。
【例】dominus /ドミヌス/
棒が上に乗っていたら、長く読みます。
【例】dominī /ドミニー/
§90. 練習問題17-3 羅文和訳
【問題】
Dominus pigrōs servōs culpat.
【単語】
servus, ī, m.「奴隷」/セルウス/
piger, gra, grum「怠慢な」/ピゲル/
dominus, ī, m.「主人」/ドミヌス/
culpō[第一活用]「とがめる」/クルポー/
まずDominusは辞書と同じ形なので、単数主格「主人が」とします。
pigrōsとservōsが一致しているようなので、一緒に活用を見ます。
名詞第二活用(1-1)(§51)
dominus「主人」
単数
主格(が) dominus
属格(の) dominī
与格(に) dominō
対格(を) dominum
奪格(から) dominō
複数
主格(が) dominī
属格(の) dominōrum
与格(に) dominīs
対格(を) dominōs
奪格(から) dominīs
複数対格で「怠慢な奴隷たちを」です。
culpatは「dominus 主人が」に一致すると思われますが、一応見ましょう。
現在直接法能動相(第一活用)
§25. amō「愛する」
単数
1人称 amō
2人称 amās
3人称 amat
複数
1人称 amāmus
2人称 amātis
3人称 amant
単数3人称なので、やはり「(主人が)とがめる」という対応関係でした。
解答
【解答】
主人が怠慢な奴隷たちをとがめる。
英語語源コーナー!
今回扱ったラテン語culpō/クルポー/「とがめる」は次の英単語と関係があります。
【英単語】
culprit /ˈkʌlprɪt/「容疑者」
After a long police search, the culprit was apprehended.
長い期間警察が捜索を行った後,その容疑者が逮捕された。
(『パス単 英検1級』No.281)
【英単語】
culpability /ˌkʌlpəˈbɪləti/「過失の原因」
The report failed to determine culpability for the accident.
報告ではその事故の過失の原因を特定することができなかった。
(『パス単 英検1級』No.415)
【英単語】
culpable /ˈkʌlpəbl/「有罪の」
After a long trial, the jury determined that the defendant was culpable.
長い審理の後,被告は有罪であると陪審団は裁決した。
(『パス単 英検1級』No.2065)
ご覧のとおり、すべて英検1級単語です!
ごく簡単なラテン語に触れるだけで、英語の最上級語彙を格段に増強できます。