本気の発音矯正スクール↓
発音記号は、なかなか教われない
発音を勉強するために、私自身も何冊か発音の本を読んだり、英会話学校に通ってみたりしました。しかし、なかなか発音記号について網羅的に教えているものはありませんでした。どれも断片的でモヤモヤしたまま。そこで、このページでは発音記号が読めるように、必要な知識を網羅することを試みます。
前提知識(知ってる人は読み飛ばしてください)
大切な知識
母音の発音記号を読むには、下記の台形をざっくりと理解する必要があります。

まずはこの台形について説明しますので、知っている人は読み飛ばしてください。
図と人体の対応関係

この台形は口の中を表しています。
台形の左↔右は、舌の前↔後と対応します。
台形の上↔下は、あごの閉↔開と対応します。
舌の前後を感じる
「いーうーいーうー」と繰り返して言ってください。
♪いーうーいーうー
すると、「い」のときは舌が前に移動して、「う」のときは舌が後ろに移動する、と感じられるはずです。
ですからここからは、
「い」は舌が前
「う」は舌が後ろ
であると言います。
あごの開閉を感じる
「いーあーいーあー」と繰り返して言ってください。
♪いーあーいーあー
すると、「い」のときはあごが閉じて、「あ」のときはあごが開く、のを感じられるはずです。
ところで解剖学的には舌というのは、あごの骨に乗っています。なので、あごが上下すると、舌も一緒に上下します。

ですからここからは、
「い」は舌が高い/上 or あごを閉じる
「あ」は舌が低い/下 or あごを開く
と言います。
上下左右を指示できる

というわけで、「台形と口の中」の対応関係がわかると、
英語の/æ/は日本語「あ」より、舌を前に出し、あごをやや開く
といった指示が可能になるのです。
だから母音の発音記号を読むには、台形の知識が必要なのです。
/æ/の発音方法
口の中編
㋓から出発するパターン
台形を理解すれば、/æ/にたどり着く方法をいくつかあるとわかります。例えば、日本語の㋓からスタートして英語の/æ/にたどり着いてみましょう。

まず、ふつうに日本語の㋓を発音します。そこから徐々にあごを開いていくと、やがて「あ」っぽい響きを得られます。それもそのはず、㋐とほぼ同じ高さまで舌が下がっているのですから。まさに、そこが/æ/の音です。
♪㋓→/æ/
このパターンの指導法は『フォニックス〈発音〉トレーニングBOOK』などに見られます。
㋐から出発するパターン
今度は㋐から出発してみましょう。ただし舌を動かす訓練をしていないと、やや難しい方法です。

まず、普通に日本語の「あ」を発音します。そこから、舌を前に動かし、「え」の響きを得ます。それがまさに/æ/の音です。
♪㋐→/æ/
『世界一わかりやすい英語の発音の授業』では㋐からスタートするパターンを使って解説しています。
どちらの本も、口の中の動きまでは解説していませんので、どうしても雰囲気でごまかす説明になりがちです。
結論は同じだが
㋓からスタートしても、㋐からスタートしても、得られる音はどちらも/æ/です。
しかし舌を前後させるという技は、練習が難しい部分があります。そこで、教室などで教える際には、㋓から始める方法をおすすめします。コントロールするのが、あごだけなので、比較的やさしい方法と
言えます。
よく/æ/が、アとエの中間と言われるのは、こういった舌や顎の動きがアでもエでもないことに関連しているのでしょう。
ただし、これだけではまだ/æ/の音は完成していません。
喉の動き(咽頭化)
/æ/の音を完成させるには、喉の動きも重要です。この事実はなかなか入門書には書いていないのですが、探せばそれらしい記述を見つけられます。例えば『初級英語音声学』という本には次のような記述があります。
咽頭の緊張を伴う音なので、発音する上ではのどを締めつけるようにすると効果的である。
(『初級英語音声学』p74 3. /æ/)
無料で読めるものだと、『新英和大辞典 第6版』の発音解説に次のようにあります。
また/æ/を発音する際には咽頭が収縮するのが特徴である。
(英和大辞典>発音解説>英語の母音>3a)
どうやら、「のどを締めつける」だとか、「咽頭が収縮する」だとかが重要なようです。
では、どうやったらのどを締めつけることができるのでしょうか。
『実践音声学入門』という本にやり方が書いてあります。
実験66
我々が成し遂げたい咽頭の収縮を引き起こすには、「嘔吐反射」(gag reflex)と呼ばれるものを作動させるのが最適な方法である。読者が異常に感覚が鈍いのでない限り、これは口の中に指を突っ込んで指を口蓋垂に触れるか、ただ近づけるかすることによって引き起こすことができる。このようにして起こる、咽頭の強い発作的な収縮は、より穏やかで弱い咽頭の収縮を作り出すための出発点である。
(『実践音声学入門』p124)
つまり、こういうことです↓

「オエッ」という音を発音するとこんな感じになります↓
/æ/の発音に戻ります。
①まず前述のとおり口の中で/æ/をつくります。
②次に、喉を締めます(=咽頭化)。
発音するとこんな感じ↓
♪①口だけの/æ/→咽頭化もした/æ/
口の動きだけじゃなて、喉の動き(咽頭化)を加えることで、/æ/が一層/æ/らしくなります。
/æ/を発音する時に、「何かお手本と違う」と思ったら、咽頭化をブレンドしてみると解決するかもしれません。
またこの咽頭化は英語のLやRでも使う要素ですので、覚えておいて損はありません。
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